26 住宅建築を製造業に再構築しよう

深刻な人手不足から工業化の流れは必然

住宅建築を、従来の現場でつくるから、工場でつくる「工業製品(製造業)」へと再構築する動きが日米両国で本格化している。

これまで日本の住宅業界が推し進めてきた工業化は、大手メーカーが大規模な設備投資や独自の情報処理システムを用いて生産する、いわゆる「クローズド工法」が主流だった。しかし、社会構造の変化に伴い、現在の住宅供給方式の多くは限界を迎えつつある。

これからの時代に求められているのは、一般的な在来木造や2×4工法といった枠組みのまま工業化を進める「オープン工法の工業化」だ。

全国の中小工務店が技術やシステムを共有する「みんなの工業化」を実現することで、独自の巨大投資をせずとも住宅の生産性を高めることが可能となる。

住宅を製造業へと転換すべき最大の理由は、日米共通の課題である深刻な大工などの熟練工・人手不足だ。近年は住宅の高気密・高断熱化などの高性能化に伴い、建材の重量化が進んでいる。さらに近年の酷暑など、過酷な気象条件に晒される現場作業の負担は限界に達している。これに対し、建物の大部分を現場ではなく工場で製造する「オフサイト建築」であれば、天候や気象条件の影響を受けずに安全な環境で作業が可能だ。現場での施工は、完成したユニットを運び込み、据え付けや配管・配線の接続を行うだけで済むため、過酷な現場作業を減らしつつ、品質確保と労働環境の抜本的な改善を両立できる。

地域分散型のサプライチェーンと災害時の迅速な仮設住宅供給

この「オープンな工業化」と「地域化」を組み合わせ、新たな住宅供給方式の構築を目指しているのが、(一社)日本オフサイト建築協会が推進する取り組みだ。地域のプレカット事業者や工務店が連携し、建築ユニットを工場製造する「地域分散型のサプライチェーン」を構築することで、地域内でヒト・モノ・カネが循環する仕組みを生み出す。さらに、このネットワークは有事に強力なレスキューシステムとなる。能登半島地震では、モバイル建築を活用した応急仮設住宅が261戸供給された。従来の短期間使用を前提とした仮設住宅とは異なり、本設(恒久住宅)への移行も可能な高い品質を備えている。

将来懸念される南海トラフ地震などの大規模災害時には、約84万戸の建設型仮設住宅が必要と想定されているが、全国の工務店が平時から参画するサプライチェーンが完結していれば、有事の際にも迅速かつ大量に良質な仮設住宅を供給することが可能になる。

住宅建築を「工業化・オープン化・地域化・DX」の4要素を持つ製造業へと再構築することは、平時の人手不足や重量化・酷暑といった現場課題を解決するだけでなく、国難級の災害に備える強靭な社会基盤の構築に直結する極めて重要な取り組みと言える。