道連れ工事なしのサブシステムを育て上げる

現在、少子高齢化や人口減少により、住宅着工数は中長期的に60万〜50万戸へと減少していくことが予測されており、住宅産業は大きな転換点に直面している。さらに、大工就業者数は2020年に29・8万人と、20年前から半減、建設技能労働者の激減も深刻な課題だ。
こうした縮小する社会においては、技能者不足を補い、生活者に手頃な価格(アフォーダビリティ)で良質な住宅を提供し続けるために、住宅生産の合理化、すなわち規格化やモジュール化が改めて重要になっている。かつて戦後の住宅不足を解消するために進められたプレハブ化や、公団住宅における部品化の歴史に、私たちは再び学ぶ必要がある。
しかし、これまでの住宅産業は、多様化するニーズや高度な性能要件に応えるあまり、商品開発でシノギを削り、設備や部材が複雑になりすぎている。多種多様な専用部品が溢れる現状は、製造コストを引き上げるだけでなく、将来のメンテナンスの手間を増大させてしまう。
今こそ、本当に必要な機能を見極め、共通規格化を進めることで、「住宅部品を本気で減らす」取り組みが求められている。規格がバラバラな部品を減らし、シンプルで汎用性の高い部品に絞り込むことは、これからの住宅維持管理やコストダウンにおいて不可欠なアプローチだ。
そして、この「部品化」や「規格を絞り込む」ことの重要性は、新築だけでなく、ストック循環やリフォームのしやすさの観点から一層高まる。現在、日本の住宅ストックは5400万戸に迫り、築40年以上の住宅だけでも1160万戸に達しており、これらをどう蘇らせるかが業界共通の課題だ。
ここで非常に示唆に富むのが、戦後の建築界を牽引してきた故・内田祥哉氏の考え方だ。内田氏は新築市場が縮小しストック市場が台頭することを予測し、「これからの住宅産業は部品産業になるかもしれない」と指摘していた。仮に住宅の寿命を80年としても、配管や電気器具などの設備・部品の寿命は15年程度にすぎない。住宅寿命の間に何度も部品の生産・補給が必要になるため、部材・部品こそがサステナブルな住環境に直結するというわけだ。さらに内田氏は、そうした時代に必要なこととして、「道連れ工事なしのサブシステムを育て上げること」を強く注文していた。
現状では、台所などの部品を一つ替えようとするだけで、周囲の壁や床にも手を入れる「道連れ工事」が発生し、結果的にハウスメーカーなどに頼らざるを得ず、コストも跳ね上がってしまう。これを防ぐためには、無駄な住宅部品を減らし、独立して簡単に交換できる専門システム(モジュール化された部品)の開発が不可欠だ。大がかりな道連れ工事なしに部品の交換だけで住宅性能を維持できれば、リフォームのコストと手間は下がり、ストック住宅の価値は長く保たれる。今こそ住宅部品を本気で減らし、真に合理的な部品化・モジュール化を目指すべきだ。

