23 “人興し”を進めよう

関係人口を増やしていくためにも魅力ある街づくりを

国が「地方創生」を打ち出してから10年余りが過ぎたが、いまだ、東京一極集中は是正されないばかりか、加速している感すらある。「住民基本台帳人口移動報告」によると、2025年の都道府県別転入・転出をみると、転入超過は東京都の6万5219人がダントツに多く、神奈川県、埼玉県、大阪府など7都府県だ。

地域の活性化については、さまざまな課題が指摘され、議論され、取り組みが進められてきたが、根本的な課題として、地域の未来を担うべき人材の圧倒的な不足がある。交付金でプロジェクトを立ち上げても、地域で持続的に担っていく人がいなければ元の木阿弥だ。また、地方創生の予算が取れても、具体的にどう使ってよいかわからず、結局、大都市のコンサルなどに丸投げしてしまうため、お金が地域で回らないという問題点を指摘する声もある。

いかに地域で核となるべき人材を育てるか、活性化を進めるためには“人興し”が何より重要になる。

外から新しい風を
地域への愛着が鍵に

コロナ禍以前、インバウンドが増えるなかで、日本人でも行かないような地方に魅力を感じて訪れる外国人の話をよく聞いた。そのエリアで暮らす人にとっては当たり前の風景が外からはとても魅力あるものに映る。豊かな自然や歴史的な街並み、独特な食文化などの“日常”が大きな価値であること、地域ならではの資産であることを教えてくれる。

地域活性化の取り組みも同様なことが言える。長く住み続けている人にとっては、何もない前提、廃れていく前提であったとしても、そこに風穴を開ける人が入ることで大きくステージが変わる。第三者の目こそ地域活性化の大きな力となろう。地域活性化の成功例を見ると、必ずといっていいほど移住した若者が関係しており、地域の産業や行政と連携して盛り上げている。

もちろん、単に外部の人を連れてくれば良いという話ではない。その地域に愛着を持つ人、シビックプライドを持つ人を一人でも増やしていくことが重要だろう。その意味では、国が進め始めた関係人口増加に対する取り組みは大きな意味を持ちそうだ。

はじめは返礼品目当てのふるさと納税かもしれない。しかし、その地に興味を持って訪れてみる、気に入って再度訪れる、地域の人と交流を持って愛着を深めていく、そんな流れを作りたい。

地域おこし協力隊、伴奏型メンター、地域力創造アドバイザーなど、さまざまな制度や枠組みが設けられているが、重要なのは外部から人が訪れて何かを教えて終わりというスタンスではなく、ともに地域をつくっていく共創だろう。人をどのように“興していくか”が試されている。