持続可能な社会で選ばれる企業へ

社会環境、市場環境が大きく変わるなか、住産業もその姿を大きく変えつつある。
人口減少、少子高齢化を背景に新設住宅着工戸数は減少傾向をたどる。持家政策を背景とした住宅の新規供給を柱としてきた住宅産業の構造そのものの転換が迫られている。成熟した社会への対応が求められストック型社会へ急速に移行しつつあるなか、住宅を社会資産と捉え、維持・管理していくストック型モデルの構築が進みつつある。
さらに、脱炭素社会への移行が加速し、環境への対応は前提条件となった。働き方の変化、社会のデジタル化などを背景に暮らし方が大きく変わり、住まいに求められる役割も変わりつつある。
足元で言えば、住宅価格の高騰、地価上昇、人件費高騰などを背景に住宅の取得環境が悪化、賃貸住宅の家賃も上昇し、アフォーダブル住宅が脚光を集めつつある。「住まいとは何か」という問いがあらためて突きつけられていると言っていい。
こうしたなかで住産業界の企業はどのような姿を描いていくべきなのだろうか。
パラダイムシフトのなか“つながり”が重要なキーワードに
パラダイムシフトを迎えるなか、重要なキーワードとなりそうなのが「ソーシャルキャピタル」だ。
「ソーシャルキャピタル=社会関係資本」とは、人々の「信頼」、「規範」、「ネットワーク」といった無形の資産のことで、「人々の協調行動を促し、社会の効率性を高めることができる」と定義されている。企業経営においては、ネットワークによるイノベーションの創出、信頼性に基づく生産性の向上やコストの削減、社員のウェルビーイング向上による離職率の低下などの効果が指摘されている。さらに経営の枠を超えて提供する商品やサービスにも広がり、企業と社会のつながりによる価値を生み出すことが期待できる。
今、住宅を引渡した後のユーザーとの継続的なつながりを持ち、そこからビジネスを生み出していくことが求められている。こうしたなかで選ばれる企業は、“つながり”という見えない価値を大切にする企業だろう。また、人材獲得の面からも、この“つながり”は重要となる。社会的に求められているといった働き甲斐や達成感、個人のウェルビーイングを実現する仕事が選ばれるようになろう。
住産業ではストック型・サービス型への転換が進む。こうした時代に「人生で最も高額な買い物」の品質や性能が高いのは前提であり、その後の「暮らし」をどうデザインするかが求められる。例えば、分譲住宅の開発で言えば、住宅を建てて終わりなのではなく、はじめからコミュニティのあり方をデザインし、販売後もその醸成に関わっていくような取り組みが企業の価値となろう。
目に見えない価値をどのように創出するか、持続可能な社会におけるビジネスモデルの構築が急がれる。

