もはや個社の合理化だけでは限界

建設現場に数万点もの資材を工程に合わせて納品する住宅業界は、トラック輸送依存度が95.9%と高く、物流への依存度が極めて高い業種だ。しかし、2024年4月からの時間外労働の上限規制導入、いわゆる「物流の2024年問題」により、従来の個別最適化された仕組みはもはや通用しなくなっている。さらに改正物流効率化法により、2026年度からは一定規模以上の荷主などが「特定事業者」に指定され、中長期的な計画作成や定期報告が義務付けられる。これに伴い、流通店や取引先を含めたサプライチェーン全体で、特に大手企業を中心に一層の取り組みが求められている。
こうした危機感の中、大手ハウスメーカー数社が共同配送に本格的に着手した。積水ハウス、旭化成ホームズ、積水化学工業の3社は物流大手のセンコーと協業し「住宅物流4社協議会」を発足させた。全国の拠点や車両を共同利用するだけでなく、部材購入の共同調達や共通パレットの導入も検討している。また、静岡県の新設中継基地「TSUNAGU STATION浜松」を活用し、コンテナを別のトレーラーに積み替える中継輸送を実施するほか、ダブル連結トラックで車両を大型化し、ドライバーの移動距離短縮とCO2排出量の削減を目指している。
YKK APなど建材メーカーも取り組みを強化している。同社はトラックの荷待ち時間を削減するため、全国30拠点に予約受付サービス「MOVO Berth」を導入して時間管理を厳格化した。さらに、手積みからパレット化への転換による積載率低下を補うため、同業者や異業種との共同配送、鉄道や船を利用したモーダルシフトを加速させている。実際に大王製紙、北陸コカ・コーラボトリングとの異業種3社で、従来片道のみだった輸送ルートを一括で再構築し、実車率を50%から最大91.7%にまで引き上げる成果を上げている。
一方、住友林業のグループ会社であるホームエコ・ロジスティクスは、工務店、流通をターゲットにした新サービス「JUCORE 物流」を展開。異なる仕入れ先の資材を配送センターで混載し、半径10〜20㎞圏内という小半径の物流網でラストワンマイルの共同配送を行う仕組みである。これにより配送便を約60%、配送コストを約10%削減することに成功。商品代と物流費を切り離す「商物分離」を導入し、誰もが利用できる持続可能な物流プラットフォームを目指している。
住宅分野の物流は、周辺環境への配慮やジャストインタイムの納品など特有の難易度を持つ。もはや個社の合理化だけでは限界があり、業界全体を網羅する共同配送システムの実現こそが不可欠である。
また、共同配送に加えて、「フィジカルAIによる荷役の自動化」と「BIMデータの物流転用」なども進めていく必要があるだろう。不整形な建材をAIロボットが施工順に自動積み込みし、人手不足と重労働を解消。さらに、設計データ(BIM)と連動しジャストインタイム配送を徹底すれば、現場の待機時間と在庫ロスを極小化できる。

