17 残す家、壊す家を選別しよう

空き家、災害リスク…引き継ぐべき住まいの選別が重要に

循環型社会を目指すなかで、住宅を選別する時代を迎えているのではないだろうか。

フローからストックへという流れのなかで、高度成長期を通じて続けられてきた“壊して建てる”から“ストックを活用する”という時代に入っている。個人の資産であると同時に社会的資産でもある住宅を長く大切に使い続ける、そんな当たり前の時代を迎えた。
ただ、今後、さらに持続的な循環型社会を構築していくうえで、どのような住宅を残し、更新していくのかが重要になろう。

最たる例が空き家だ。言うまでもなく空き家の放置は、景観上、防犯上、そして安全上大きなリスクを抱えている。空き家をうまく活用することで、負の遺産をプラスに転じ、その周辺までも含めて価値を上げることが可能だ。例えば、戸建住宅の空き家をリノベーションして戸建住宅として販売・賃貸するだけでなく、立地条件によって宿泊施設や店舗にすれば新たな集客が見込めよう。また、コミュニティ拠点など地域の居場所にすることもできる。

ただ、空き家も千差万別。今にも崩壊するような廃虚は、早々に除却し更新すべきだ。あわせて単に除却して更地で売るという発想にとどまらず、除却した後、どのように次世代に残すべきストックとしていくかもセットで考えたい。除却した後の活用まで含めて所有者にメリットが生じるような取り組みが広がればいい。もちろん、除却しても、その土地自体が価値を持たない空き家もある。ただ、存在するだけで負の影響を持つ建物であるならば、除去に対する一定の投資は意味を持つはずだ。逆に都市部では、旗竿地など接道義務基準を満たしていないため、いくら利便性が高くても建替えができない再建築負荷物件というケースもある。規制運用の柔軟化を含め、安全性を踏まえたうえでの活用の可能性を探りたい。

ストックを選び引継ぐ置き換えを

一方、自然災害の激甚化・頻発化のなか、住む場所の選別がより重要になるだろう。「立地適正化計画」の居住誘導区域は災害レッドゾーンを原則除外している。先にまとまった「住生活基本計画(全国計画)」では、「基本的な方針」のなかで、「利用価値を失った住宅の適切な除却と、災害リスクや生活・交通利便性、環境負荷を踏まえた新築・建替えについて、市場のなかで長期的に運用可能な住宅への置き換えを進めていく」としている。もちろん、被災地からの移転については、職住分離による弊害、コミュニティの崩壊、経済的負担などの課題もある。ただ、少なくとも新たに居住を誘導するエリアにおいては、将来を見据え、ストックを選別した置き替えを進めていくべきだろう。

決して無駄に壊すのではなく、新たな時代に引き継いでいくべきストックの更新という視点が重要になっている。