14 中途半端な状態で供給しよう

住まい手が完成させる住宅づくり

戸建て住宅は長らく、「完成された状態で引き渡されるもの」であった。「完成品」での供給は、手軽さを求める層には合致してきた。しかし、ライフスタイルや個人の好みが多様化する中で、多岐にわたる要望に対応しきれなくなっていくのはないか。

ここで提案したいのが、住宅を完成しない状態で供給する「ハーフビルド住宅」の普及である。基礎や構造躯体、屋根、外壁といった建物の安全性に関わる骨格部分や、電気配線、給排水管の敷設など、有資格者による専門的な工事が不可欠なインフラ部分までをプロの施工業者が確実に担う。そして、その先の工程である内装の間仕切り、壁の塗装やクロス貼り、床材の敷設、造作家具の設置といった仕上げのプロセスを残した「半完成」の状態で、引き渡すという方法である。

住まい手の創造性を引き出すハーフビルド住宅

このアプローチは、自分でこだわりの住宅をつくりたい層のニーズに合致する。近年、DIYは単なる趣味の域を超え、自己表現の重要な手段として定着している。彼らの多くは、カタログから選んだ既製品の組み合わせではなく、自身のライフスタイルに合わせ、自らの手を動かして「自分だけの空間」を創造したいという高いモチベーションを持っている。

DIY精神に溢れる世代にとって、セルフビルドの余地が残された住宅は、自分らしさを体現するプロセスそのものを楽しめるため、積極的に望まれる魅力的な選択肢となり得る。

さらに、ハーフビルド住宅は経済的な側面でも大きなメリットをもたらす。内装の仕上げにかかる職人の人件費や管理費を大幅に削減できるため、従来の完成品を購入するよりも安く住宅を供給できる可能性が高い。昨今の建築資材の高騰などにより、多額の住宅ローンは若い世代にとって大きな重圧となっている。住宅取得の初期費用を抑えることができれば、浮いた資金をこだわりのインテリアや生活を豊かにするための他の経験に投資することが可能になる。

また、内装の更新や交換が容易なディテールや規格をあらかじめ組み込んでおくことで、居住者のライフスタイルや住まい手が変わった際、DIYで構築した部分に手を入れ、空間を柔軟に編集し直すことができる。

もちろん、素人が手を入れることによる仕上がりの粗さを懸念する声もあるだろう。しかし、「完成した瞬間が最も美しく、あとは劣化していくのみ」という従来の住宅観からは脱却すべき時期にきている。多少の歪みや色ムラといった失敗は家族の思い出として刻まれ、愛着を深めるはずだ。

プロの確かな技術による安全な構造と、住まい手の情熱による自由な空間づくり。この二つが融合するハーフビルド住宅は、日本の住文化に新たな豊かさをもたらすはずだ。