サプライチェーンを「広げる」から「縮める」へ

住宅建設では、木材や建材、設備機器の多くが規格化・大量生産されたものとなり、それらを広域から効率的に調達することが最適とされてきた。一方で、環境意識・国際情勢の変化により、こうした供給網が見直される時期にきている。直近では中東情勢の不安定化に伴い、ナフサなどの原料が入手困難となり、建築資材への価格や供給にも大きな影響をもたらしている。
そこで、改めて考えたいのが、必要な資材や人材をできる限り地域内で調達し、建設地に近いものから使用していく「地産地消」の家づくりだ。「地産地消」はもはや生存戦略になりつつある。
例えば、木材では、国内の森林資源の多くが伐採期を迎える中、国の後押しもあり、地域産材を活用する動きは広がりつつある。そのほかの建材や一部の設備についても、地域で供給可能なものを見直していく余地は大きい。
地域ごとに最適化された最短ルートでの資材供給網をつくることで、地域経済の活性化に加え、物流の担い手不足への対応や、CO2排出量の削減といった効果も期待できる。また、地域内で供給網が完結すれば、修繕が必要になった際も同じ規格、同じ質の素材を即座に手に入れやすくなる。
身近な資材を見直す
もちろん、すべての建材、設備を地域内で完結させることは現実的ではない。しかし、これまで広げる一方であったサプライチェーンの領域を、可能な限り縮める方向に転換する視点は必要だ。やみくもに各地から資材と取り寄せるのではなく「近いものから使う」という優先順位をつけるのだ。具体的には、まずは特定の地域内、それが難しければ国内、それでも足りなければ近接する海外というように、少しずつ視野を広げていく。
また、「都市鉱山」という言葉がある。これは、都市にはレアメタルや貴金属といった資源を含む携帯電話やパソコンなどの使用済み電子機器がたくさんあることからできた言葉だ。建材や設備でも同じようなことが考えられないだろうか。
例えば、大林組の「プロミエ」は、部材についているQRコードをスキャンすると、専用アプリ上でその部材の「属性情報」と「進捗履歴」などの確認・登録ができる。こうしたDXツールを効果的に使用すれば、ハードルが高いとされる建材・設備のリユースの仕組みも構築できるのではないか。
自給自足体制を整えることは、そのまま「輸出産業への転換」のチャンスでもある。エネルギー価格の高騰と円安が定着する「新常態」において、「海外から安く買って組み立てるだけ」のモデルは限界を迎えている。地域資源を高度な技術で加工し、付加価値を付けて国内外に流通させることが求められてくる。

