三協立山

ニーズに合わせた創エネ提案を強化 太陽光一体型建材でZEB化・防災に貢献

ZEB・ZEHの普及や脱炭素化の進展を背景に、建築物における省エネ・創エネへの対応が求められている。三協立山は、アルミ建材の技術を生かした創エネ建材の開発・提案を通じて創エネの選択肢を広げ、環境負荷の低減と災害時にもエネルギーを確保できる建物・施設の普及に貢献する。

建築物や住宅における環境性能とレジリエンス向上の重要性が高まっている。国は脱炭素社会の達成に向け、新築・既存ストックを問わず建築物の省エネルギー化や一次エネルギー消費量 収支の実質ゼロを目指す「ZEB」や「ZEH」の普及を強力に推進している。

ZEB・ZEH化には、創エネ技術の採用が欠かせない。しかし、都市部では、スペースが限られ、太陽光発電設備を十分に設置できないケースもある。

中高層建築物では、強風による吹き上げへの対応も必要だ。限られた空間の中で、いかに創エネの場を広げていくかが課題となっている。

こうした中、三協立山では、建物の外装や敷地を有効に活用する手段として「建材一体型太陽光発電(BIPV)」に着目。同社のアルミ建材のノウハウに創エネという新たな価値をプラスし、建物のZEB・ZEH化に貢献するため、建材と太陽光発電を組み合わせた新たな製品の開発・提案を進めている。

アルミ建材のノウハウに創エネをプラスした製品で、建物のZEB・ZEH化に貢献する

手すりを発電面に都市建物のZEB化へ貢献

都市建築物における創エネ空間の拡大に向け、2026年6月に発売したのが、太陽電池一体型アルミ手すり「FINEMASTERSOLA(ファインマスターソラ)」だ。

同社は、中低層建築物から、地上30階を超えるようなタワーマンションまで手すり設置の豊富な実績を持っており、耐荷重性能、耐風性能、耐久性など、厳しい要求に応えるアルミ手すりの技術を蓄積してきた。

「ファインマスターソラ」は、中高層建築向けの主力アルミ手すり「ファインマスター」の高い構造強度と安全性を継承しながら、ガラス枠の設計を見直し、ガラス面に様々なメーカーやサイズの太陽光パネルを組み込むことができるようにした。

また電気配線を笠木内部に納め、通常仕様のファインマスターとデザインを統一することで、同じ建物に発電機能を備えた手すりと通常の手すりを並べて施工しても、建物全体の景観を損なわない意匠性を実現した。

開発においては、発電機能だけでなく、施工性やメンテナンス性にも重点を置いた。手すりを設置した後に電気設備を無理なく施工でき、将来的なメンテナンスにも対応できるよう、笠木や配線が通る部分のカバーを内側から取り外せる構造とした。一般的な工具で取り外しできる。

2027年4月に開業予定の商業ビルで、室外バルコニー部分への初採用が決定している。屋上だけでは十分な発電面積を確保しにくい都市部の建築物において、手すりそのものを発電面とすることで、ZEB化を後押しする。

太陽電池一体型アルミ手すり「FINEMASTERSOLA(ファインマスターソラ)」の設置イメージ

強靭な構造と優れた防災性のソーラーカーポート

敷地内の駐車場空間を活用して大きな創エネ効果を生み出すのが、カーポート型太陽光パネル架台「エネジアース」である。開発のきっかけは、京都府の沿岸地域にある自治体からの問い合わせだった。「当時、ソーラーカーポートは鉄製のものが主流であったが、海沿いの地域では塩害による錆が課題であった。また、積雪量の多い地域でもあったため、塩害と積雪に強いカーポートが求められた」(同社)ことから40年以上の実績を持つ三協立山に開発が打診された。

「エネジアース」は耐食性を持つとともに、耐積雪150㎝(4500N/㎡)、耐風圧強度Vo=46m/sを実現。垂木自体を樋構造とすることで雨水の浸入を防ぐなど、太陽光パネルを載せる架台としてだけでなく、カーポートとしての快適性にも配慮している。

また、柱の本数を抑えて駐車時の乗り降りをしやすくしたほか、駐車しやすい「後方支持タイプ」もラインアップ。確認申請で必要となる強度計算書にも標準対応するなど、太陽光発電設備と建築物としての機能を両立している。

全国で50件以上の採用実績を誇る「エネジアース」は、自治体庁舎や学校などの公共施設に多く採用されている。独立した1階建ての構造で倒壊リスクを抑えられることに加え、蓄電池を併設すれば、停電時には非常用電源として活用できる。創エネとレジリエンスを一体で考えられる点が、同製品の大きな特徴となっている。

令和8年熊本地震の際も、県有施設に設置された同製品はほぼ損傷を受けず、稼働を維持したという。

カーポート型太陽光パネル架台「エネジアース」の採用事例。最大500㎡までの連結が可能だ

「創エネ」の多様なニーズに応える

同社は2026年6月の組織編成で、ビル・住宅・エクステリアといった従来の枠組みを見直し、組織横断で提案できる体制を整えた。背景にあるのは、建物や施設が抱える課題に対し、一つのカテゴリーにとらわれず、同社が持つさまざまな建材・技術を組み合わせて提案していく考え方だ。例えば、エクステリア領域の商品だった「エネジアース」をビル分野で提案するなど、物件ごとに最適な創エネ方法を検討できる環境を整えている。

来春には、エネジアースシリーズの新商品として、場所を取らずに両面で発電できる「垂直スクリーン型」の発売も予定。今後も創エネ建材の開発・提案を強化し、さまざまな建物や施設の創エネニーズに応えながら脱炭素社会と持続可能な建築・まちづくりを支えていく。