ポラスグループ

庭・外構を含めた邸別コーディネイトで人と地域を幸せにするまちづくり

地価や建築資材の高騰を背景に首都圏の戸建分譲住宅市場では敷地を細分化し、画一的な建物を効率的に並べる開発が目立つ。埼玉県越谷市に本社を置くポラスグループはそうした市場の潮流と一線を画し、「人と地域を幸せにするまちづくり」を一貫して追求している。

ポラスグループが、主力である分譲住宅事業において「街並み」や「景観」を強く意識し始めたのは約30年前。創業者の中内俊三氏が自社の住宅デザインについて良くない話を耳にしたことがきっかけだった。住む人が誇りを持てる美しい街並みをつくらなければならない、という危機感がまちづくりの原点となった。以来、欧米をはじめとする海外の街並み計画を取り入れるなどし、単に家を建てるだけではないトータルな景観設計へと舵を切った。

それから30年以上にわたり、時代の変化や顧客ニーズの多様化に対応しながら様々なコンセプトのまちを提供し続けてきた。その根底にあるのは、住まいを単なる不動産ではなく、地域に根差し、人と人をつなぐ社会的資産として捉える視点だ。

近年、首都圏近郊の住宅市場は厳しい局面に直面している。地価上昇と建設コストの高騰の影響で土地を細分化し、規格化された建物を隙間なく配置する分譲住宅の手法が広がっている。その結果、日当たりやプライバシーの確保、地域コミュニティの形成といった住環境の本質的な豊かさが見失われつつある。

これに対してポラスグループは、一見非効率に見える「邸別設計」の姿勢を貫く。土地の形状や周辺環境、日照条件などを把握し、1棟ごとに異なる間取りや窓の配置、外構デザインを施し、まち全体の調和やコミュニティ形成も図る。目指すのは、そこに暮らす家族と周辺地域が長期にわたり享受できる豊かさの実現だ。

平屋とフットパスが紡ぐ緑あふれるコミュニティ

この姿勢を体現した最新事例の1つが、中央住宅が手がけた「みのりこまち 春日部・一ノ割」である。同分譲地が位置するのは、埼玉県春日部市東武スカイツリーライン一ノ割駅から徒歩24分。全17棟からなるこの分譲地は、各戸150㎡(約45坪)以上のゆとりある敷地が特徴となっている。

開発当初の検討段階では、中央に道路を通し、南北に敷地を四角く切り分けた、ごく一般的な整形地の区割りだった。だが、きれいな敷地形状が取れる反面、北側道路に面する住戸に南側の2階建てが迫り、日当たりが悪くなる。また、住戸同士が分断され、住民同士のコミュニティも生まれにくいという課題もあった。

そこで設計チームが打ち出したのが、平屋とフットパスを取り入れた立体的な余白のあるデザインだった。まず、首都圏の建売分譲地では稀といえる平屋を南側に4棟横並びに配置。「南側に背の低い平屋を並べることで、街の中に広々とした『空の余白』ができ、北側の住戸の庭や住棟間を通る小道にもたっぷりと光が入る」(中央住宅戸建分譲設計本部 設計一部営業企画設計課3係 工藤智奈都氏)。分譲地内だけでなく、周辺住宅への圧迫感をも軽減する利他的な設計を心がけた。

「毎回違う条件の中で最大限の魅力を引き出すのが常に課題」と語る中央住宅戸建分譲設計本部 設計一部営業企画設計課3係 工藤智奈都氏

もう一つの大きな特徴が、住棟の間を貫くフットパス「みのりこみち」だ。接する10棟の住民が自らの敷地を少しずつ供出し合い、地役権を設定することで成立している。幅約2mの小道は直線ではなく、コンクリートで柔らかな曲線をデザインした。途中には歩行者が自然に立ち止まり、挨拶や立ち話ができるような緩やかな膨らみを設けている。

街全体のコンセプトである「実り」に合わせ、各戸に実のなる樹木や花々を植栽したほか、家庭菜園を楽しめる「ポタジェ」や雨水利用タンクを標準装備。境界は視線が抜けるオープン外構を基本とし、住民同士が育てた野菜や果物をお裾分けし合えるような、温かな関係性を誘発する仕掛けをちりばめた。

建物内部では、本物の木の素材にこだわり、地元・春日部市創業の厚川産業と共同開発した内装材「KIRINOKA」や、国産ヒノキを用いた「インテリアラーチ」を壁面や天井に贅沢に採用した。小上がりの段差を設けた「ステージリビング」や、子どもが宿題などをできるベンチを備えた「ワイドリビング」、家事や趣味室として活用できる「FLEXルーム」など、暮らしを豊かにする空間を提案している。

「みのりこまち春日部・一ノ割」の風景。住戸の間に設けた白いコンクリートのフットパス「みのりこみち」が豊かな余白を創出している
「家産家消」のグリーンサイクルを暮らしに取り込み、地域コミュニティの活性化に

グループ総合力により手の届きやすい価格を実現

駅から遠く不利といえる立地で各戸の敷地を広く取り、平屋やフットパスによって他にはない圧倒的な付加価値を創出したこと、さらに販売価格を3000万円台から4000万円台に抑えたことで、販売は順調に推移。平屋物件はすぐに完売し、26年9月末現在、最終1邸を残すのみとなっている。購入層の中心は20〜30代の若い子育て世帯であるという。設計段階から取捨選択を徹底し、グループの総合力による資材調達を活かすことで、無駄なコストを削ぎ落としながら必要な部分へ的確に費用を投じる。こうした企業努力により、デザイン性の高い、かつ手の届きやすい分譲地の供給が実現できている。

工藤氏は「四角い敷地をただ無機質に切り分けるのではなく、街にあえて余白をつくり、暮らしと庭、人と人を掛け合わせた街をつくる。そうすることで、住むお客様だけでなく、隣接する地域や将来の開発に対しても良い影響を与えられる。『こういう街に住みたい、こういう街をつくりたい』と思われるような風景を、これからもつくり続けたい」と語る。

住民の幸福と地域の未来を見据えてまちづくりを継続するポラスグループは、これからの住宅事業者が目指すべき供給の在り方、真に豊かな住まいとは何かを問い続けている。