住宅事業者がユーザーとの関係性を深め、適切なメンテナンスの提案などを通じて住宅を長く大切に使い続けることが重要になっている。(一社)MEASは「長期保証」を事業者とユーザーをつなぐ重要な役割と位置付け、その導入、運用のサポートに力を入れる。
2000年台中旬頃から長期保証の導入が本格化、地域の住宅事業者にも広がってきた。当初は瑕疵担保責任10年間をベースに、メンテナンスを行うことで保証を10年延長する形でスタートしたが、初期20年・最長60年、初期30年・最長70年など延伸化が進み、近年では永年保証も登場している。(一社)MEASのデータによると、住宅事業者トップ30社の96.7%が長期保証を導入しており、36.7%が初期30年保証だという。
長期保証が広がるなかで(一社)MEAS 代表理事の田中俊行氏は「長期保証をユーザーの囲い込みや、引き渡し後の収益化だけを目的に導入すると、本質的なことを見失う」と警鐘を鳴らす。
暮らしを守る長期保証
(一社)MEASは、2016年に住宅事業者の長期保証・アフターサービスを支援する目的で設立、初期20年・最長60年の長期保証のリスクに備える「スマイノミライ」の提供を開始した。そもそも施工不良への対応は施工した事業者に求められ、それを担保する保証も本来は自社で行うのが筋だろう。しかし、補修に高額な費用が発生したり、ユーザーとトラブルになったりするなど大きなリスクがあることから、第三者機関のサービスを活用するケースが増えている。
(一社)MEASは、長期保証を「長く安心して住み続けるために必要な住宅会社とユーザーの約束」と位置付けている。住宅に不具合があれば暮らしを守ることができなくなるからだ。そのため住宅事業者は長期保証を活かし、ユーザーとの信頼関係を深めるなかでメンテナンスの重要性を伝え、ユーザー自らが住宅に愛着を持って手入れをするような状況を醸成することが重要とする。「長期保証を導入することがゴールではない。導入する目的を明確化し社内で共有していただきたい」(田中氏)。また、保証があればメンテナンスしなくてよいと誤解を与えてはならないと考える。施工不良と経年劣化は別物であり、住宅を長く持たせるためにメンテナンスは不可欠だからだ。
初期30年・永年保証を導入
(一社)MEASが2026年1月に初期30年・永年保証に対応する「スマイノミライ30」の提供を開始した。この新たなプランの導入に伴い、従来の初期20年・最長60年の長期保証を「スマイノミライ20」に改称している。
以前から初期30年や最長60年を超える保証を求める声が寄せられていたが、「住宅事業者をしっかりとサポートできる体制が整わないなかで保証期間だけを伸ばしても意味がない」(田中氏)と導入を見送ってきた。しかし、約10年間の取り組みのなかで、住宅事業者に向けて(一社)MEASの考え方をしっかり伝えることを徹底し、ノウハウを積み上げてきたことから、満を持して初期30年・永年保証のサポートサービスに乗り出した。
「スマイノミライ30」は、これまでの「スマイノミライ20」と大きく異なる点が3つある。まず1つ目に、防水検査の実施が必須なこと。住宅の不具合事象をみると、構造躯体よりも防水の不具合が圧倒的に多いことを踏まえた対応だ。2つ目に、20年目とその後の延長のタイミングに点検を行い、その結果に基づくメンテナンスの提案を住宅事業者に求めている。初期30年にもかかわらず20年目にも条件が定められているのは、不具合を未然に防ぐためやユーザーに住まいの維持管理を意識させるためである。住まいはその周辺環境や自然災害によって劣化したり、美観が損なわれたりするものであり、保証があるからと言って30年間点検やメンテナンスが不要になるわけではない。3つ目が、60年目の延長までに外壁と屋根の全面改修を行うこと。建材によって劣化の状態は異なるが、原則として定めている。


出典:(一社)MEAS調べ
メンテに対する意識醸成を
(一社)MEASは、住宅事業者に対するサポートのさらなる強化も進めている。
まず、「社内浸透サポート」をさらに徹底する。同サービスは、長期保証導入時に住宅事業者のメンバーを集めて「スマイノミライ」の説明だけでなく、長期保証を導入する意味などについてレクチャーするもの。従来は営業担当者を中心に行うケースが多かったが、できるだけ多くの参加を促すことを徹底していく。
加えて、引き渡し後にユーザーの窓口となるアフター担当などを対象とする「アフター運用サポート」を新たに実施する。例えば、保証の対象とユーザー負担の対象など、長期保証の内容についてしっかりと伝えること、また、ユーザーに対して節目ごとのメンテナンス提案をどのように伝えるかなど、アフター担当者の理解を深めることが目的だ。
また、中小の住宅事業者においてアフターサービス基準書が整備されていないケースが多いことを踏まえ、そのひな形を作成した。これは(一社)MEASの顧問弁護士でもある秋野卓生弁護士、安成工務店と連携して作成したもの。今後、「スマイノミライ」を導入する住宅事業者に対して、その活用を提案していく。さらにユーザーのメンテナンスに対する意識を高めてもらうことを目的に、(一社)MEASでは直接ユーザーに案内を送付する。引渡しから9年、14年、19年という節目の一年前をめどに、「住宅の状態に意識を向けていただき、自らがお手入れをするきっかけにもつながれば」(田中氏)と計画している。住宅事業者がメンテナンス提案を行う前からユーザーにアプローチし、準備を促す考えだ。
(一社)MEASは、事業開始から10年が経とうとするなか「10年後の長期保証の延長を見据え、ユーザーのメンテナンスに対する意識醸成、住宅事業者とユーザーの関係構築にさらに力を入れていきたい」(田中氏)と話す。

