日本ボレイト

地球温暖化の「転換点」に立ち向かう 2100年の住宅を見据える防蟻設計

地球温暖化に伴う気候変動は、住環境にも深刻な影を落とし始めている。平均気温の上昇はシロアリの生息域を北上させ、長期的に住める住宅づくりのためには、従来以上にシロアリ対策が重要になっている。日本ボレイトは自然由来の「ホウ酸」を用いた防蟻処理で、持続可能な住宅づくりに貢献する。

地球温暖化はすでに“転換点”を迎えている

現在、地球規模の環境変化はかつてないスピードで進行している。

温暖化の深刻さを示す指標の一つに、23カ国87以上の機関から研究者が参加してまとめた「GLOBAL TIPPING POINTS(グローバル・ティッピング・ポイント)」というレポートがある。

同レポートでは、気候システムがある臨界点を超えることで、ドミノ倒しのように破壊的な変化が連鎖的かつ不可逆的に進行する「ティッピング・ポイント(転換点)」のリスクを指摘している。一度この転換点を超えれば、人間の力で元の環境へ戻すことは極めて困難になる。

例えば、温水サンゴ礁の熱的ティッピング・ポイントは産業革命前と比較して1・2~1・4℃の気温上昇とされるが、すでに地球の平均気温上昇は約1.4℃に達している。その結果、温暖な海域では前例のない規模の白化や死滅が発生している。

気候変動の影響は遠い海外だけの話ではなく、日本でも気温上昇が続いている。北海道札幌市の年次気温を例にみると、1890~1910年の平均気温が6.75℃なのに対し、2016~2025年の平均気温は10.11℃まで上昇している。

このような気候変動は、台風の大型化や局地的豪雨の増加、それに伴う水害リスクの高まりなど「住まい」を取り巻く環境にも大きな変化をもたらしている。

その最たるものが、木造建築の天敵であるシロアリ被害の拡大だ。(公社)日本木材保存協会が公表している研究報告では、破壊力の強いイエシロアリの生息可能地域について「1月の平均気温が0℃以上の地域」を目安として提示している。温暖化によってこの条件を満たす地域が広がれば、それに伴いイエシロアリの生息域も拡大することになる。

現在、生息域の北限は茨城県付近とされているが、近年は宮城県仙台市でも1月の平均気温が0℃を上回っており、侵入さえすれば活動できる環境が整いつつある。気候変動の波は、これまでの防蟻対策の常識や設計の前提を根底から覆しつつある。

2100年を見据えた持続可能な家づくりへ

一方で、住宅市場はスクラップ&ビルドから既存住宅の活用を重視するストック型社会へと移行しており、将来にわたって性能を維持できる住宅が求められている。その代表例として挙げられるのが長期優良住宅だ。

長期優良住宅では75~90年程度3世代にわたって住み続けられることを前提としている。つまり、長期優良住宅を建てる場合は、少なくとも今から75年後の2100年頃まで使われることを想定しなければならない。日本ボレイトの浅葉健介代表取締役社長は「2100年まで大規模な改修工事を行うことなく住める住宅をつくるには、気候変動による気温上昇や土壌温度の変化がどれくらいになるのかを想定しながら設計するべき」と話す。長寿命住宅を実現するためには現在の環境条件だけでなく、将来起こり得る環境変化まで視野に入れる必要がある。

例えば、これまでシロアリ被害が比較的少なかった東北や北海道などの寒冷地では、防蟻対策よりも厳しい寒さへの対応が優先されてきた。しかし、今後は、寒冷地でも現在の関東以南と同様にシロアリの活動が活発化していく可能性は十分にある。

特に寒冷地で普及している基礎外断熱工法は、シロアリが侵入しやすく、蟻道の発見も難しいとされる。加えて、これまでシロアリ被害を経験してこなかった住宅事業者が異変を見逃し、被害の発見が遅れるリスクも考えられる。

出典:気象庁データより信州大学 中谷岳史研究室作成

非石油系の防蟻処理という選択

こうした将来のシロアリリスクを見据えたとき、長期的な耐久性を確保できる防蟻対策の重要性は一層高まる。その選択肢の一つとして、日本ボレイトが推進しているのが、無機ミネラル系であるホウ酸を用いた防蟻処理「ボロンdeガード」工法だ。

ホウ酸は天然鉱物である「ホウ酸塩」を原料としており、環境負荷が少ない。脱石油・脱炭素が求められる時代において、環境と住まいの持続可能性を両立させる選択肢となり得る。また、分解されず、水に流されない限りその場に留まり続けるため、一度の施工で長期間効果を維持できることも大きな強みだ。浅葉社長は「竣工すると手を入れることが難しい躯体に関わる建材にこそ、お金をかけてでも長期的に効果を発揮できるものを選択することが重要だ」と指摘する。壁体内の構造材がシロアリ被害に遭った際の修繕や、性能劣化した防蟻薬剤の再施工には、壁の解体を伴う大規模な改修工事が必要になるからだ。

同社は、再施工無しで最長35年の防蟻保証を付与する「新築35年保証」を提供するなど客観的な担保も用意し、長く住める住宅づくりに貢献する。責任施工体制を取り研修事例の共有や現場の状況確認を徹底することで、施工精度を確保し超長期保証を実現した。

また、ホウ酸による防蟻処理は、近年増加している非住宅木造においても有効だという。非住宅の大規模な木造建築において、従来の5年ごとの防蟻再施工はコスト面でも運営面でもハードルが高い。しかし、効果が長期間にわたって持続するホウ酸処理であれば、5年という周期に縛られることがなく、ゼネコン側が主導する外壁や防水といった15年〜30年周期の大規模修繕計画に合わせて組み込める。持続性と管理のしやすさが評価され、公共施設などでも採用が広がっている。

気候変動が進行するなか、住宅に求められる耐久性や維持管理の考え方も変化しつつある。同社は長期にわたって躯体を守ることのできる「ボロンdeガード」の提供で、22世紀へと続く木造建築物の未来を支えていく。