ミサワホーム

課題解決型リフォームを推進 ミサワホーム流のストック事業を拓く

日本の住宅市場が大きな転換期を迎えている。世帯数の減少や資材・建築コストの高騰、環境保護への意識の高まりを背景に、従来の「新築中心」から「既存住宅(ストック)の有効活用」へと舵が切られている。こうした重要な変革期の中で、ミサワホームはストック事業を単なる補修・メンテナンスにとどめず、社会課題を解決するための重要事業と位置づけて展開している。

「新築事業が戦後の住宅不足解消という社会課題に応えてきたように、ストック事業においても現代の社会課題解決に取り組みたい」と語るのは、同社取締役 常務執行役員の五十嵐茂ストック事業本部長(兼 建設・CS本部 副本部長)だ。

同社のストック事業は、今や利益面で新築事業と肩を並べるほどの主力事業へと成長を遂げている。

単なる補修を超えた「バリューアップ」型リフォームを提案

従来のリフォームは「壊れたから修理する」、「古くなった設備を交換する」といったメンテナンスの延長線上で捉えられがちだった。しかし、同社が目指すのは、住宅の価値そのものを高める「バリューアップ(価値向上)」であり、住まい手の暮らしの質を向上させる提案である。

その象徴的な取り組みが「ウエルネスプラン」だ。同社はグループ会社である「マザアス」を通じて、30年以上にわたり高齢者住宅や介護サービスを提供してきたノウハウを持つ。この知見を活かし、単にバリアフリー改修を勧めるだけでなく、60代〜80代のオーナーが直面する将来のライフプラン全般を共に考えるアプローチを導入した。

「『最期まで自宅で暮らしたい』というお客様の想いに寄り添いつつも、周辺の医療・商業環境や家族のサポート体制などを総合的に捉えて、最適な住まい方を提案することを目指しています。もし自宅での生活継続が難しい場合、無理にリフォームを提案するのではなく、介護施設へのご案内も含めた最適な暮らしをご提案します」と五十嵐氏は説明する。

「ストック事業で社会課題解決に取り組みたい」と語る同社取締役常務執行役員の五十嵐茂ストック事業本部長

リフォーム部門の営業担当者を「マザアス」が運営する施設に派遣し、知識だけでなく実体験を重視した教育も実施している。一泊二日の実地研修では、車椅子操作や介助体験を通じ、真に高齢者に必要な住環境を体感させているという。

こうした人材育成の取り組みも奏功し、例えば「お風呂の故障」という相談に対し、設備の交換のみならず、ヒートショック対策としてのサニタリー全体の断熱改修や、将来を見据えた洗面台のユニバーサルデザイン化を提案し、受注につながるといった事例が増えてきている。

その一方で既存住宅のポテンシャルを最大限に引き出すために、2021年から全面改装のブランド「まるまるリフォームⓇ」を展開している。

「建て替えるよりもコストパフォーマンスが良く、暮らしがガラリと変わる提案を行うことで、工事規模の拡大とお客様の満足度向上につながっています」と五十嵐氏。

さらには、リフォームに特化した空間提案型ショールームの開設にも注力しており、単に建材や設備を展示するだけでなく、あらゆる住まいのニーズに対応する「生活空間」を体感できるよう配慮している。現在、全国で13店舗がオープンしているが、この1~2年で10店舗を新たに開設する予定だ。

こうした取り組みにより、9年前には100万円前後だった平均受注単価は150万円程度へと上昇。300万円以上の工事の割合も5%から10%以上に拡大している。

リフォームに特化した空間提案型ショールームを全国で13店舗かまえている。今後1~2年で10店舗を新規オープンする予定

「MISAWA RELAY」が拓く既存住宅流通の新たなエコシステム

ストック事業のもう一つの柱が、不動産事業との連携による既存住宅流通の活性化だ。同社はハウスメーカーならではの強みを活かした不動産ブランド「MISAWA RELAY(ミサワリレイ)」を立ち上げた。

新築コストの高騰で既存住宅市場への需要が高まるなか、建物の耐震性や断熱性などの性能を正しく評価し、必要なリフォーム費用までを含めた総合的な購入プランを提示できる点はハウスメーカーである同社ならではの強みである。全国に配置された宅建の資格と既存住宅の有効活用を促す知識を備えた「家活コンシェルジュ」が、単に不動産仲介を行うだけでなく、空き家対策や相続相談にも柔軟に対応している。

また、既存住宅を買い取り、リノベーションを施して再販する「買取再販事業」も急拡大している。自社物件にとどまらず、一般の在来木造住宅やマンションまで対象を広げて再生・販売を実施。販売実績は数年前の年間40〜50棟規模から、昨年度は100棟へと急増し、今期は130棟を目標に掲げる。

「建築コストが高騰するなか、クオリティの高い再生住宅を市場に供給することは、若い世代を含めたユーザーへの手頃で安心な住宅の選択肢提供となります」(五十嵐氏)。